Adobe CS2 無料騒ぎとは何だったのか?


今日はこの冬一番の冷え込みだそうで、北海道では-30℃超えなんてことになっているそうですよ。風邪などひいてませんか?

そんな寒さ冷え込む日本にも「すわ!Adobe CS2 無料ダウンロード!マジすか?アドビふとっぱら!」などというニュースが流れて、ちょっとほんわか暖かい感じがしておりましたが、どうもそんな簡単な話ではない事の推移をみせております。なんでこんな不思議なことになったんでしょうか?

(この記事、事実と妄想両方書きますのでご注意を)

アクティベーションサーバーの停止から始まった

アドビのページによると、同社は2012年12月13日に「技術的な理由によりAdobe® Creative Suite® 2 製品およびAdobe® Acrobat® 7のアクティベーションサーバーを停止」したと言っている。技術的な理由の中身はよく分からないが、アクティベーションサーバーというのはユーザの情報をインターネットでやり取りするものだから、セキュリティ対応も重要だし、ハッキングされて個人情報が漏えいするようなことがあれば信頼を失う重要なものである。当然そこを突いてくるクラッカーもいるだろうし、管理は大変そうだ。

また、アドビはアクティベーションをきっちり管理している。ハードディスクが飛んで再インストールする場合、認証が通らずにアドビのサポートを受けるユーザもいるはずだ。私もアドビ製品をいくつか使っているが、ハードディスクを飛ばすたびに、アドビの電話サポートに連絡してライセンスをいったんリセットしてもらっている。かれこれ5~6回はやっただろうか。

そんなことを考えると、7年前のソフトに今でも手間と時間、つまりコストをかけたくないというのは理解できる。「技術的な理由」というのは、案外そういったサーバーの管理やその周辺のコスト、あるいはサーバー自体をメンテナンスすることがもはや現実的でないという判断を下したということかもしれない。

さて、アクティベーションサーバーが止まれば当然困るユーザが出てくる。私だって、Adobe Acrobat 7.0 Professional を今でも使っているひとりだ。うっかり何も考えずにOS再インストールをすれば、アクティベーションできなくて困ることになる。アドビのサポートは電話が鳴りっぱなしになったはずだ。さてどうする?

正規顧客の利益を守るという姿勢はさすが

もし私が担当者だったら、考えられる対策は次のようなものだろう。

  1. サポートに連絡をもらって個々に対応する(そのまま)
  2. 正規のユーザにだけダウンロードできるページを作る。アクティベーションをパスできる専用のライセンス番号はメールなどで送る。
  3. ダウンロードページで、全部出してしまう
  4. 全部フリーにして公開してしまう

最初、多くのユーザやニュース報道は 4 の対応をとったものだと誤解したが、実際は 3 だった。でも、2 みたいな方法をとることも可能だったはず。ファイルのダウンロードはいいとして、ライセンス番号だけは慎重に配布することも可能だった。たとえ厳密な正規ユーザかどうかの判定は難しいとしても。

でも、アドビは 4 と勘違いされるリスクをおかして 3 の方法を選択した。なぜだろう?アドビは正式に、「本措置は既存の正規ライセンスを所有されているお客様の利便性を損なわないための顧客支援の一環」であると言っている。これに偽りはないと思うし、このことがアドビへの信頼につながることは間違いないだろう。

なぜ公開を選択したのか

(繰り返し書いておきますが、取材したわけではないのでここで書いてるのは全部妄想です)

どのような対応をとるかを決定するためには、まずいくつかの対応オプションにかかるコスト、新たに得られる利益、失う利益といったものを天秤にかける必要があっただろうね。

2 の対応をとるためには、サポート人員が必要だし、手順がややこしければクレームにつながりかねない。クレームが増えれば、新製品を買おうというユーザを減らすことになる。一方、4 では世界中のユーザがダウンロードして使ってくれるから、アドビの評価はうなぎ上りになるだろうが、新製品は買ってもらえなくなる可能性がある。フリーの麻薬に取りつかれたユーザはお金を払って買うことに罪悪感さえ感じるものだからだ。今回の 3 の対応でも、ダウンロードして不正に使う人はいるだろうが、「正規ライセンスがない人が使うとライセンス違反」と言っておけば、全員がインストールして使うわけではない。

このように見てくると、なんだか今回のアドビの対応はとても賢い隙間をうまく狙ったものに見えてくる。

ライセンス違反して使う人はいるかもしれないが、罪悪感が消えないだろうから、そのうち新しいOSを入れたときに製品版を買ってくれるかもしれない。罪悪感なく使うユーザはどうせ将来ユーザになるとは考えにくいから、無視してもいい。今でも Windows XP とか Mac OS の旧版ユーザであるってことは、そもそもアドビ製品を買うほどお金を持っていない可能性も高い。正規ユーザは、ダウンロードしてインストールするだけで使えるし、無料で公開されているわけではないので、「買って損した感」は生まれにくい。アドビは、ただ公開するだけでいいからコストはかからない。誰も困らないし、こういうのってオレの嫌いな Win-Win って言葉がピッタリくるわけよ。そんなわけで、今回のアドビの対応ってなかなかすごいのかもしれないと思った。

あ、ここで書いたのは裏づけのない妄想ですからね。裏とってないですからね。でも、こんな感じだったんじゃないかって想像するわけです。だって、もし問題ありだったらダウンロードページはとっくになくなってるはずだしね。

それから、ライセンス違反して構わないと言ってるわけじゃないですよ。誤解なきよう。

参考

  • Adobe® Creative Suite® 2 製品および
    Adobe® Acrobat® 7のアクティベーションサーバーに関するお知らせ(アドビ、ダウンロードページ)
    http://www.adobe.com/jp/downloads/cs2_downloads/index.html
  • Adobe、CS2の公開について説明 非正規ユーザーの利用は「ライセンス違反となり得る」(ITmediaニュース、2013年01月08日 15時39分 更新)
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1301/08/news087.html
  • アドビ、PhotoshopやIllustratorなどCS2製品群を無償で提供中(マイナビニュース、2013/01/08)
    http://news.mynavi.jp/news/2013/01/08/084/
  • Adobe® Creative Suite® 2 製品およびAdobe® Acrobat® 7の
    アクティベーションサーバーに関するお知らせ(アドビ、2013年1月8日)
    http://www.adobe.com/jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/20130108_cs2_downloads.html

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