アナログとデジタルの基準レベルを合わせる


ノイズのお話(1)では、ノイズの種類についていろいろな可能性を考えました。今回は、ノイズの原因や対策を考える前にちゃんとレベルがあっていることを確認したいと思うんですよね。いくら頑張ってみても、ミキサーからの出力音量が小さいとか、マイクアンプのゲインがあってないとか、そんな話だったらもうどうしようもないですし。

大前提としての適正レベル

まず確認したいのは適正レベルで音は出てるのか?ってことです。最終的にミキサーからアナログ出力する場合でも、USBでパソコンに突っ込んでそれをライブ配信する場合でも、パソコン内のサウンドカードで完結してるような場合でも、レベルがちゃんとあってなきゃ話になりません。そこから理解しときましょう。

ヘッドルームの囁き(Whisper from Headroom)という記事でも書きましたが、アナログにせよデジタルにせよ、音の大きさには限界ってものがあります。先の記事では「身長と天井の高さ」の比喩で表現してみましたが、たとえばマイクに食らいつくくらいで思いっきりでっかい声を出してみます。その時に、大きさの限界を越えてしまうと、声が割れてきたない濁った音になります。これを「歪んだ音」と言います。一方、マイクから1メートルくらい離れてボソボソしゃべれば、音量はすごく小さくて聞きとれないかもしれませんし、ノイズも目立ちます。だから、歪まないギリギリまで音量を上げておくってことが必要です。ダイナミックマイクなら10センチくらいのところで、普通に話したときに、限界の大きさから-10dB~-15dBくらいの音量が基準です。コンデンサーマイクならもう少し離れてもいいです。

でも実際の配信では、興奮してデカイ声で笑ったり、マイクに息を吹きかけたりしますよね?僕はよくやっちゃいます。それで音量オーバーして歪んだりします。残念です。

プロの話し手の人たちは、常に自分の声の音量を一定に保つテクニックを持っています。わざとマイクから離れて大声で笑ったり、わざと近づいてヒソヒソ声で話したりしてます。もちろん、マイクの軸が口からズレないようにとか、良い声に聞こえるように発声するとか、そんなのも話し手のテクニックだそうです。プロの方のライブ配信やテレビ番組、ライブでのマイクの使い方を見ていると本当に感心します。

もちろん、我々アマチュアですからそんな芸当を簡単にはできません。そこで、やはりレベルメーターを常に確認しながら話すという習慣が大事です。BGMや曲をかける時も同じですが、一定の音量で音を届けるだけで、ライブ配信の安定感が増します。これは、ノイズ問題を考える前に心がけておくべきことです。

というわけで、お勧めできそうなWindows用のレベルメーターを紹介しときます。私はいつもVU MeterとAudio Testを使ってます。

  1. VU Meter
    http://www.vuplayer.com/other.php
    入力も出力もモニターできるお気に入りのひとつ。
  2. Audio Test
    http://www.darkwooddesigns.co.uk/pc2/testgen.html
    レベルメーターは入力だけ。でも、テスト信号を出力する機能があるので、外部のミキサーのレベルあわせに便利。
  3. Peak Level Meter version 1.8
    http://www.darkwooddesigns.co.uk/pc2/meters.html
    レベルメーターは入力だけ。コンパクトなので画面が狭いときにお得。
  4. Mimura Software レベルメータ3
    http://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se404878.html
    レベルメーターは入力だけ。日本人らしい細かい設定で、横向き表示、スペアナなども付いてるけど、メーターにデシベル表示がないのが残念。
  5. シャオ志向さんのレベルメーター
    http://shaoshikou.inazawa-city.net/?software.php#lvmeter
    レベルメーターは入力だけ。どう使ったらいいのか分からん「調節」機能とかあるけど、日本語だし手軽です。

どうやって適正レベルを見つけるか

じゃあ、適正レベルってどうやって調整するんでしょうか?まず、外付けのUSBミキサーの例で説明してみましょう。この図をよーく眺めてみてください。これはレベルダイアグラムっていうものです。マイクからミキサーを通ってA/D変換されてUSBでパソコンに入っていき配信ソフトにたどり着くまでの音の大きさと、それをコントロールする音量ボリュームなどを模式的に書いたものです。高めのちゃんとしたミキサーならマニュアルに書いてあります。それぞれの段階を追って説明してみましょう。level-diagram

マイクからマイクアンプへ

ダイナミックマイクのように出力の低いマイクだと50dBくらいコンデンサーマイクだと30~40dBくらいいきなり増幅して基準レベルの音まで大きくするのが、マイクアンプの役割です。ゲインのつまみで調整します。アマチュア用のミキサーだと-10dBvが基準なので、それを前提にした図になっています。実際には、ヘッドマージンがありますから、+10dBvくらいまではいけるはずですがこれはミキサーの設計によります。ですから、マイクの感度が -55dBv ならば、ゲインつまみは +45dB あたりになるのが普通です。それで音が小さいなら、マイクと口の距離が遠すぎるのかもしれません。

レベル調整からA/D変換へ

各チャンネルの音量を調整するボリューム(フェーダー)、ミックスした後のマスターボリューム(マスターフェーダー)を経てアナログ出力のレベルが決まります。しかし、安価なUSBミキサーの多くはマスターボリュームの前の音が A/D 変換されて出力されるものが多いようです。

パソコンのオーディオへ

A/D変換されたデータはパソコンの録音入力ボリュームを通って、配信ソフトなどに送り込まれます。デジタルですからある範囲の値で表現されます。たとえば、16ビットの音は符号付きで-32768~32768の範囲です。この範囲よりも大きい音は処理できません。歪んだ音になります。ここで注意したいのは、ミキサーなどのアナログ出力の基準レベルとデジタルの世界のレベルの関係です。先の図だと、アナログの-10dBvがデジタルの-10dBFSに合わせています。これを合わせるには、アナログミキサーの入力に基準信号(1KHz、-10dBv)を入力してミキサーのレベルメーターとパソコン上のレベルメーターの値を比較しながら、その関係を理解しておきましょう。なお、先に紹介した各種メーターは、メーターが振りきったところ(フルスケール)を0dBにしているものもありますが、+3dBだったり、+12dBだったりいろいろです。あくまでもフルスケールから何dB下がったところかで考えてくださいね。dBというのは相対的な値ですので。というか、どこかでdBの話をちゃんとしておくべきですね。

なにはともあれ、パソコンオーディオ録音入力・出力のボリュームは最大に、ミキサーの各ボリュームはまず基準位置に合わせておくのがポイントですよ。そうすると、だいたい良いあたりに落ち着くはずです。この状態でマイクの音が小さいなどという場合は、マイクアンプのゲインを少し上げるようにしましょう。こんな感じで、ミキサーの基準レベル、パソコン側のレベルの関係を頭に入れながら調整するといいでしょう。ポイントをまとめましょう。volmark

  1. ミキサーのマイクゲインはマイクの感度に合わせるのが基本
  2. 話者の声が大きめならすこし小さく、小さめならすこし大きく調整する
  3. ミキサーの音量ボリュームは基準位置
  4. パソコンの録音入力ボリュームは最大に
  5. この状態を基準に、大きくしたり小さくしたりする

この記事、本当は「ノイズのお話(2)」として書いてたものなんですが、タイトル変えちゃいました。

参考

  • アナログ-デジタル変換回路(A/D変換回路,Wikipedia)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%AD%E3%82%B0-%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E5%A4%89%E6%8F%9B%E5%9B%9E%E8%B7%AF
  • レベルダイアグラム(偏ったDTM用語辞典)
    http://www.g200kg.com/jp/docs/dic/leveldiagram.html
  • Bacchin’s Audio Lecture No.6 レベルを合わせよう
    http://homepage2.nifty.com/f-freestage/bacchin/lecture-level01.html
  • デシベル(Wikipedia)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AB
  • dBFS ディービーエフエス(偏ったDTM用語辞典)
    http://www.g200kg.com/jp/docs/dic/dbfs.html

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